肥満は人類の進化の結果なのか
人類は長い間、飢餓と戦っていました。なぜなら食料を得る手段が非常に限られていたからです。
歴史の教科書などでマンモスと戦う人類のイラストを見た方もいらっしゃるかと思いますが、かつてはそのように獲物を狩って肉を手に入れるか、魚を釣る、木の実を拾うなどの自然に依存した食生活を送っていました。
このため、人間の体はわずかなエネルギーで多く活動できるように、また時々得られる食料のエネルギーを蓄えておけるように、実は非常に太りやすい体になっているのです。
さて現代社会においては、食糧問題はすでに過去のものとなっています。技術革新が進み、農業が発達した現代では食料を得る手段は数多く存在します。問題は、人類が100万年以上続けてきた飢餓を想定した食生活が、ここ数百年で大きく変わってしまったために人間の体が、その変化に対応できなくなってしまっていることです。
もし現代のような生活を続けていけば、今から100万年後には人類の体には脂肪を溜め込もうとする仕組みは消え、代わりに食べ続けても健康で居られるよなやせる仕組みが出来上がっているかもしれません。
しかし、残念ながらわれわれはまだ進化の途上であって、脂肪を蓄えやすい仕組みを持ち、その結果としての肥満にうまく対処できない体なのです。
昨今、肥満に代表される生活習慣の乱れからくる健康への悪影響や病気が心配されていますが、その背景には長い人類の歴史からくる人間の体そのものの仕組みと、人類社会の文明発展がもたらした急激な食糧問題の改善があることを念頭に、考え直さなくてはならないでしょう。